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債務整理方法の一つ「自己破産」をしたときのデメリットのひとつに「自己破産の免責が確定されるまでの間、一定の資格が制限される」というものがあります。
資格が制限されれば、資格が前提で働いていた方は、働くこともできなくなってしまいます。ここではここでは自己破産のデメリット、資格制限について解説します。
自己破産の資格制限とは
自己破産の資格制限とは、破産手続きの開始におって、免責が確定されるまでの間、一定の資格が停止されるものです。
当然、資格が停止されてしまえば、資格があることを前提として職に就いている場合などは、資格が必要な仕事はできなくなってしまいます。
例えば、宅地建物取引主任者として不動産の売買をしている方、警備員として仕事をしている方、弁護士の方などは、資格が停止されるとその仕事ができなくなってしまうのです。
自己破産の資格制限は、免責許可決定が確定するまで
資格制限と言っても、ずーっと取得していた資格が使えなくなってしまうわけではありません。
これはよく勘違いされてしまうポイントなのですが
資格制限は破産手続きの開始から、免責許可決定の確定の間の期間だけなのです。
免責不許可決定でなはなく、確定されるまでの期間なので、破産手続開始決定から3ヶ月~4か月の期間と考えておけば良いでしょう。免責不許可決定から確定までは1ヶ月ほどかかります。
この期間中だけ資格が制限されるのです。
自己破産での資格制限中は働けないの?
資格が必要な仕事には就けません。
会社に相談せずに、資格停止中に資格が必要な職務を行った場合には、違法行為になってしまいます。
資格が必要でない裏方の仕事などをしながら、会社の仕事を続けることは可能です。
ただし、会社には自己破産により、資格が制限されることを伝えて、相談の上一定期間は配置転換をしてもらうなどの対応をお願いする必要があります。
自己破産で資格停止によって、会社をクビになったりしないの?
自己破産を理由に会社は社員をクビにすることはできません。
自己破産を理由にした解雇は不当解雇にあたるからです。
資格が必要な職務の遂行が難しい場合は、休職や配置転換などの対応で復権を待つことになります。
会社に報告をせずに、無資格で仕事を続けていた場合などは解雇されてしまう可能性はあるので、注意が必要です。
自己破産の資格制限には2つの種類がある
手続きなく強制的に資格制限
弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、警備員、宅地建物取引主任者などの資格は免責許可決定の確定(復権)まで資格が強制的に使えなくなります。また、この期間は資格の取得もできません。
手続きによって資格制限
生命保険外交員等の場合は、雇用している保険会社が保険外交員の登録を取消し等の手続を行わなければ資格が停止されません。資格停止にならない限り仕事を継続することが可能です。ただし、この期間は資格の取得はできません。
自己破産の資格制限一覧
- 弁護士
- 司法修習生
- 弁理士
- 司法書士
- 土地家屋調査士
- 不動産鑑定士、不動産鑑定士補
- 公認会計士、公認会計士補
- 税理士
- 社会保険労務士
- 行政書士
- 中小企業診断士
- 通関士
- 外国法事務弁護士
- 宅地建物取引主任者
- 旅行業務取扱管理者
- 公証人
- 人事院の人事官
- 国家公安委員会委員
- 都道府県公安委員会委員
- 国際委員会委員
- 公正取引委員会の委員長及び委員
- 教育委員会委員
- 商工会議所会員
- 商工会の役員
- 商品取引所会員
- 商品取引所役員(理事長、理事及び監事)
- 証券外務員
- 持分会社(合名会社、合資会社又は合同会社)の社員
- 商品投資販売業
- 商品投資顧問業
- 金融商品取引業
- 証券金融会社の役員(取締役、会計参与、監査役又は執行役)
- 金融商品会員制法人の会員
- 信託会社
- 著作権等管理事業者の役員
- 地方公営企業等金融機構役員
- 沖縄振興開発金融公庫役員
- 信用金庫等の会員
- 信用金庫等の役員
- 社会保険審査会委員長及び委員
- 農水産業協同組合貯金保険機構運営委員会の委員
- 農水産業協同組合貯金保険機構運営委員会の役員(理事長・理事・監事)
- 漁船保険組合の組合員
- 漁業信用基金協会会員
- 船主相互保険組合の発起人、理事及び監事
- 日本銀行の役員
- 政策委員会審議委員
- 土地収用委員及び予備委員
- 都道府県公害審査会の委員
- 預金保険機構運営委員会委員
- 補償コンサルタント
- 貸金業者
- 割賦購入あっせん業者の役員
- 質屋
- 第三者発行型前払式証票の発行者の役員
- 生命保険募集人及び損害保険代理店とその役員
- 一般労働者派遣事業者とその役員
- 特定労働者派遣事業者とその役員
- 労働保険審査会の委員
- 港湾労働者派遣事業の事業主及び役員
- 港湾労働者雇用安定センターの役員
- 旅行業者
- 警備員
- 警備業者
- 警備員指導教育責任者等
- 不動産鑑定業者
- 不動産特定共同事業を営もうとする者
- 一般建設業、特定建設業
- 建築士事務所開設者
- 建築設備資格者
- 建築審査会の委員
- 建設工事紛争審査会の委員
- 測量業者
- 土地鑑定委員
- 地質調査業者
- 共同鉱業権者
- 下水道処理施設維持管理業者
- 公害等調整委員会委員長及び委員
- 風俗営業を営もうとする者
- 風俗営業の営業所管理者
- 風俗環境浄化協会の調査員
- 一般廃棄物処理業者及び役員又は政令で定める使用人
- 産業廃棄物処理業者及び役員又は政令で定める使用人
- 特別管理産業廃棄物処理業者
- 通関業者及び役員
- 鉄道事業者及び役員
- 索道事業者及び役員
- 宇宙開発委員会委員
- 卸売業者
- 塩製造業者及び法人の代表者
- 塩特定販売業者及び法人の代表者
- 塩卸売業者及び法人の代表者
- 製造たばこの特定販売業者及び法人の代表者
- 日本中央競馬会の経営委員会の委員
- 日本中央競馬会の役員(理事長、副理事長、理事及び監事)
- 地方競馬全国協会の運営委員会の委員
- 地方競馬全国協会の役員(理事長、副理事長、理事及び監事)
- 調教師、騎手
- 競馬の実施に関する事務の受託者及び役員
- 国際観光レストラン
- 有位者
- アルコール普通売捌人
- 科学技術会議議員
- 原子力委員及び原子力安全委員
- 宅地建物取引業
- 特定非営利活動法人の役員(NPO)
まとめ
自己破産では破産手続き開始から、免責許可決定の確定の間、上記に挙げる資格が停止されてしまいます。
制限された資格が必要な職務にはあたれなくなってしまいますので
上記期間も、同じ会社で働き続けたい場合には、会社に正直に報告したうえで上記期間の休職や資格が必要ない職務への配置転換を依頼する必要があります。
会社には言いたくないという方も多いかと思いますが、無資格で資格が必要な仕事を続けてしまうと違法行為になってしまいます。
資格制限は一定期間とはいえ、大きな自己破産のデメリットなのです。